2人の非番が重なるだなんて滅多にないことなのだけれど。

今日は本当に、本当に珍しく非番が重なった貴重な日。

こういう日は大抵、出かけてみたりするのだけれど今日は違った。

それでは何をしているのかと言えば、私が10番隊首室=日番谷くんの部屋にお邪魔しています。

お互い、ゆっくり身体を休める意味も含めてお話をしながら日番谷くんは本を読み、私は庭を眺めている。


「綺麗だねー・・・これ、全部日番谷くんが育ててるの?」

「別に…前の隊長の趣味かなんかだろ。来たときには既にあった。水とかはやってるけどな」


来た回数など片手の指で足りてしまう程だけれど、この部屋に来たのは初めてではない。

そして、来るたび思うのはこの庭のこと。

ここには四季折々の花が咲いていて花が好きな私はついつい見入ってしまう。


「いいなぁ、庭は広しお花もいっぱいあって」

「雛森も結構育ててるじゃねぇか」


確かに自室から見えるそんなに広くもない庭で出来る限りの花は育てているけど。


「ここには私のところにないお花もいっぱいあるから…だから、いいなぁって」

「そんなもんか?」

「うん」


日番谷くんは「よくわからない」という表情をしている。

・・・それでもやっぱり好きだから。

私は満足して庭に箸へと目を移した。すると真っ赤な花が視界に入る。


「・・・あれは、寒つばき?」

「あ・・・?ああ、そうだな」


・・・真っ赤な季節の花・・・思わずそれに目を奪われて、私は尋ねた。


「綺麗だね・・・赤くて」


これはもう、素直な感想。


「・・・日番谷くんは、どう思う?」


自分が素直に気に入った花について、隣に座る大切な人の感想が知りたくて。

しかし、返ってきたのは意外な答え。


「俺は、好きになれねぇな」

「え…どうして?」

「この色が、血を思わせるから」


ああ、そうだ・・・私たちは常に戦いの中に身を置く死神。

己の血・・・はもちろん、紅に染まる仲間の姿を直視しなければならないこともある。

それでも、戦って戦って、戦い続けて。それを繰り返すのだ・・・。

それをこの寒つばきから私は想像することはなかったけれど、日番谷くんは思い浮かべると、いう。

きっと、本当なのだろう・・・表情が苦しそうだ・・・眉間に皺がよっている。

こういう休みの日ぐらい笑っていてほしかったのに、私のせいでこんな表情させちゃった。

でも・・・やっぱり笑ってて、ほしい。


「ねぇ…」

「なんだよ」

「わらって、わらって。ねぇ、日番谷くん、わらって」

「どうしたんだよ、いきなり」

「わらってほしいの・・・お仕事のときはいつも眉間に皺よってるでしょ?だから」


そう言ったって簡単には笑ってくれないと知りつつも、私は言った。

「だから・・・私といるときは、わらってよ」

「・・・笑ってほしいか、そんなに」

「うん」

「じゃあ、一つ言うけどな、俺を笑わせられるのはお前だけだぜ・・・雛森?」

「えー・・・?」


私は日番谷くんの言ったことの意味がわからなくて、悩んでしまった。

それでも答えを出せないでいると、つ・・・と私の頬に沿って日番谷くんの指が、手がのぼってきた。

それをちら、と見て細くて綺麗だけどやっぱり男の子の指だなぁ。
・・・なんて感心しているとぐ・・・と頭を押されて、かと思えばあっという間に唇を奪われた。


「っ・・・!?」


しばらくその行動の驚いて言葉も出なかったけれど、確かに日番谷くんは微笑んだ。

ようやく落ち着いてから私は問う。


「今・・・わらった?」

「・・・だから言っただろ・・・俺を笑わせられるのは雛森だけだって」


そういう日番谷くんの顔は少しだけ、赤かった。




**あとがき**

まずはじめにH・R後の休み時間にネタ提供をお願いしたら、

1時間目の後の休み時間にはネタを書いたメモをくれた素晴らしき友人・朝比奈 神遊さまに拍手〜!

ホント、ありがとうございました。心の底から感謝します。

お題は「寒つばき」と「わらって、わらって。ねぇ、日番谷くん、わらって」です。

短いですが捧げ物ということで…空中楼閣1周年&もうすぐ10000hitおめでとうございます!
これからも頑張ってくださいねv



                                    双葉ミズキ



ありがとうございます!!

日雛いいよね・・・vvv

朝比奈さんもありがとうございます。お互い頑張りましょうね!

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朝比奈神遊様のサイトは閉鎖しました。




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