「たいしたことじゃない」

      僕はこう 言わなくちゃならないんだ。







      Rainy Day






      ある寒い雨の日。本当ならなんてことない日。

      それは夕立のように突然で

      それはマボロシのようで



      「ここの問題教えてくれる?」

      聞いてきたのは同じクラスの井上さん。

      僕は黙って紙にやり方を書いて渡した。

      本当は何か言った方が良いのも

      自分が話したいと思っているのもわかっているのだけれど。

      「ありがとう。」

      うっ。

      「たいしたことじゃないよ。」





      僕がこういう風にしか言えなくなったのは いつからだろう?

      その時がきっと 井上さんを好きになった時なんだ。

      でも井上さんは黒崎が好きだ。 きっと。

      だから僕は黒崎が嫌いで

      でも そんな心は

      そんな理不尽な気持ちは

      許されないものなんだ。

      だからこういう風にしかいえない いや 言わなくちゃならない。

      「たいしたことじゃない。」と。






      ああ、虹が出ている

      太陽が人々を照らし出す

      僕以外のすべての人々を

      雨はもう 止んだみたいだ。

      今日は皆 傘なんて必要ないだろう

      僕はまた一人 傘をさし 帰ることにするよ



      心の雨は 止むことを知らないのだから。








   アトガキ

   ずいぶん前に出来上がっていたのですが・・・。

   載せるのが・・・ね?だってすごく短いし。表現変だし。

   まとめすぎるクセが抜けなくって・・・。それを直す目的でもあるんですがね。

   ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

        すぺしゃるさんくす:意見をくれたまっすぃ〜

        theme music:高橋直純 "Rainy Day" 「A to Z」収録

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