「太陰、お前また他所の屋敷を壊したな?」
ある夜。
都の外れに出た妖を退治してきた太陰は、例によって例の如く、
白虎に過度の破壊を咎められていた。
呆れたように訊かれた太陰は、身を竦ませながら答えた。
「だって・・・誰も住んでなかったし、仕方なかったのよ」
「晴明と様子を見ている限りでは、到底そうは思えなかったが」
「う・・・」
そこでひとつ溜息を吐き、抵抗を諦めた太陰は項垂れて説教を受ける体勢に入る。
白虎が早速問題点を挙げようとすると、背後から幼い声がかけられた。
「玄武か。どうした?」
漆黒の双眸で白虎を見上げていたのは、
太陰と共に妖退治をしてきた水将玄武だった。
少し間をおいてから、遠慮気味に玄武は口を開く。
「・・・今回の件は、我にも責任の一端がある。だから、我も説教を受ける」
「・・・・・・俺は別に構わないが・・・」
ただ、晴明と様子を覗いた分には、玄武の非は感じられなかった。
まあ、本人が言うのだから良いだろう。
白虎が目線で促すと、玄武は太陰の隣に静かに正座した。
それを見た太陰は、驚いたような顔をしてから嬉しそうに笑った。
玄武もそれに柔らかく笑んで返す。
「・・・・・・」
二人の見かけ相応の子供らしいやり取りを見て微笑ましい気分になった白虎は、
今日の説教は早めに終わらせてやろうと内心で考えるのであった。
あとがき
私の中の太陰と玄武のイメージをまんま日常に当てはめた感じです。
でもそうすると玄武がちょっとMっぽくなってしまう・・・。
いや、単にヘタレてるだけなんですけど。(笑
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